暗黙知」(tacit knowing)を考える

  2003年5月8日

○ それぞれの定義

・ 「言葉にならない知」
・ 文字や言葉、数字といった情報や知識を示す「形式知」に対し、それらでは表現できない
伝達しにくい情報や知識を「暗黙知」という。

・ 「我々は、言葉にて語り得るよりも多くのことを知っている」科学哲学者マイケル・ポラニ

・ 明確に言葉には表せないけれど、科学的創造性を支えている知識
・ そこには、自分の中にあることはうすうすわかっているのに、いざそれを取り出そうとおもってもなかなか取り出せないもの。
・ 情報・知識工学では「暗黙知」を定量化できないから、扱わないものとしている。(東北先端研は例外)

・ 報告書や方法論、マニュアルなど言葉によって明示できる形式知に対し、個人的な経験により得られる言葉にしにくい知識、ノウハウやコツなどを暗黙知という。従来のエキスパートシステムでは形式知のみを重視していたが、形式化しにくい暗黙知をいかに表出化して、全社的に共有できるようにするかが、ナレッジマネジメントのポイントである。(IT用語集)

「“形式知”(デジタル的)と“暗黙知”(アナログ的)を区別し、仕事のやり方や組織の作り方を変えることが
必要だ。形式知のデジタル化(=IT化)が中途半端ではコア・コンピタンス(=暗黙知)を生み出すことは
できないだろう」中谷巌 氏

・ 個人の経験や学習によって蓄積された知識の多くは、その個人の信念や主観・個性、或いは経験と感という形で表現されて、周辺への働きかけとなって現れるが、文章や図表によって表わすことの出来ない知識を「暗黙知」という。暗黙知は、その状態のみでは、文章や言葉などの伝達手段によって他の人々に伝えることが出来ない知識であるので、組織にとって価値ある知識とするためには、形式知への転換や社風のように組織の知識として共有される必要がある。

野中郁次郎 SECIモデル
Socialization(共同化)、Externalization(表出化)、Combination(連結化)、Internalization(内面化)の4つのプロセスが相互に作用して一段上の知識レベルへ昇華するプロセスを理論化したもので